喧嘩尻

「ようアリス遊びに来たぜ」
「あんたは本当に暇なのね」
「何言ってんだよ。ボランティアだよ」
「ボランティア?」
「友達少ないアリスの遊び相手」
「帰れ」
「まあまあ」
「もう昼も食べちゃったわよ?」
「ん、飯じゃないって。遊びに来たって言っただろう?」
「何するの?」
「今日は体を使った遊びをしようと思う」
「えー」
「今日で引き篭もり何日目?」
「三十二日目」
「よく死なないな」
「外への買出しとかは、人形達に任せてるから食べるのには困らないわ」
「日の光に当たらないと病気になるぞ」
「魔法使いは夜にこそ動くべきよ」
「何時に寝てるんだ?」
「七時」
「どこで夜に動く余裕があるんだよ」
「だから動いてないんじゃない」
「はあ、とにかく今日は外で遊ぶぞ」
「えー」
「えー、じゃない」
「運動は苦手なのよ」
「知ってる」
「じゃあ、ほら、ママゴトでもしましょう」
「つまんね」
「こっちだってママゴトなんかしたくないわよ」
「じゃあ、私のやりたことをしようじゃないか」
「聞くだけ聞くわ」
「オーケー。最初からそう言えよ」
「で、何やるの?」
「尻相撲」
「あ、そういえば今日は誰かとこれから約束が」
「ねーよ」
「あ、あるかもしれないじゃ」
「ねーよ」
「もしあったらあんた責に」
「ないって」
「ないわよ!」
「じゃあ、外出ようぜ」
「今日は逃げられなさそうね」



――外



「なんで尻相撲なの?」
「なんでって……。今流行りなの知らないのか?」
「知らない」
「ぷりんぷりんの尻演出のことも知らないのか?」
「何それ?」
「ああ、これだから……」
「何よ」
「別に」
「言いなさいよ」
「まあ、全部嘘なんだけどな」
「嘘っ」
「まあまあ。ほら、この上に乗ってくれ」
「乗ったわよ」
「で、背中合わせで、よいしょっと。せーの、でいくぜ」
「はいはい」
「せーの、おりゃっ!」
「ぎゃぴっ」
「おいおい、吹っ飛びすぎだろ。大袈裟じゃないか? アリスは貧弱だからな。もっと肉つけろ。肉」
「……」
「おい、アリス?」
「……」
「あ、アリスーッ!」





アリス・マーガトロイド
尾てい骨複雑骨折
診断結果、全治九ヶ月