極短プチSS『サンタの服が赤い理由』

「智代かわいいぞ」
 俺は万感の思いを込めて言った。ちなみに今日は聖なる夜ことクリスマスイヴ。勿論俺にとっては性なるだったり精なるだったりと……ゲフンゲフン。
 そして、ここに一人クリスマスの妖精さん爆誕した。姓は坂上、名は智代。前世は熊の粋な奴。容姿端麗、成績優秀、喧嘩上等。その妖精さんの格好はどう見てもサンタさんです。真っ赤なミニスカサンタさんです。ゴチ。
「変態だ。やはりお前は変態なんだ。何故私はこんな変態と付き合っているんだ?」
「そりゃ、好きだからだろう」
「確かに朋也のことは好きだ」
「いや、変態プレイ」
「殴っていいのか? ここは殴って黙らせてもOK出るところだと思う。じゃあ、一発だけでいいから殴らしてもらうからな。手加減はしてやろう。出来る自信はないけど。せーので行くぞ。せー」
 捲くし立てるように一気にそう言い、右の拳を振り上げる。わあ、これが智代パンチか超痛そう。死ねるね、これ。うん。謝ろう。
「超ごめんなさい」
「分かればいいんだ」
 流石はミニスカサンタさん。でも、蹴りならば喰らってもよかったかなと思う自分がいる。だって、パンツ見えるじゃん? 痛いけど気持ちいい。痛気持ちいいじゃん? 俺天才じゃね?
「む、また良からぬことを考えているな。その顔は」
 何を察知したんだか分からないが、嫌な予感がしたようで顔をしかめる智代。
 ちっ、これが野生の勘ってやつか。なんとか誤魔化さねば。否定だ。ものすごい否定のリリックを刻むんだYO。
「そんなことないですよぅ」
 超失敗した。
「なんだその口調は? やはり殴らせろ」
「智代かわいいぞ。愛してる」
「私もだ。だから殴らせろ。たまには愛の鞭も必要だ。私はどうも飴しかあげていない気がするんだが……」
「飴って言うか汁な」
「あの世で反省しろ!」
 一言多かった自分を反省。一撃で脳を揺らされるのは、案外気持ちのいいものなんだなと思った。クセになるぜ。でも、鼻血は勘弁な。すごい噴出してるんですけど。
 スローモーションで流れる世界。ゆっくりと近づいてくる床。俺を殴った張本人を見ようとして緩慢な動きながら首を動かし上を見上げる。そこには極上の世界が広がリングでした。だって、パンツ見えましたもん。しかもピンクのリボンついたかわいいショーツ。きっと、これ、勝負パンツ。しかし、そこまでが限界。最後に見た映像は俺の返り血(鼻血)を浴びた智代嬢の見下ろすような冷たい視線。
 分かった。サンタの服が赤い理由。それは返り血だったんだ。
 俺天才じゃね?