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ここで問題です。
もし、あなたが朝起きたらウン、じゃなかった、ウリンコになってたらどうしますか?
『岡崎朋也⇔ボタン 覚醒編』
ちゅんちゅん
小鳥の囀りが聞こえる。どうやら朝のようだ。
目が覚めたわけではないが、普段の半分、いや五分の一意識がある位の状態。だからといって起きる気は無い。今日も昼から登校すればいいだろう。そう思いまた闇の中に身を委ね―――
「う、うーん」
はっ?
「お姉ちゃん、そろそろ時間だよ。起きて」
「うー、あと五分を五セット」
「それじゃ二十五分だよ。完璧に遅刻」
「じゃあ、せめて二セット」
「もう、分かった。また起こしにくるからね」
「うぃー」
……不思議な夢だ。
どっかの双子姉妹の朝の風景の会話が聞こえる。どうでもいいや。
とにかく眠い。
ギュー
ぐはあ!
何かに体を締め付けられる! た、助けて!
必死に何かから抜け出そうとする。もう完璧に目が覚めた。
「ぷひぃ」
なんとか抜け出せた。
しかし、今のはなんだ、った…んだ?
今の自分の状況に驚く。何かから必死に抜け出した先で見たものは元クラスメートのアップの寝顔。
「んふー」
幸せそうな寝顔。
正直かわいい。
ってか、ちょっと待て俺。今の状況を考えるんだ俺。杏の寝顔のアップ=一緒に寝てる、だ。寝起きなのに中々頭の回転速いじゃないか俺。
……それってヤバクね?
えっと、あれ?
でも、昨日は春原の家にいつも通り行って、そんで親父寝る頃に家に帰って……あれ? ってことは俺の家?
「お姉ちゃん、もう五分二セットの時間経ったよ」
「んー、分かったわよ」
今度は現クラスメートの委員長さんが現れました。二人とも俺の家で何を?
「あ、またボタンと寝たの?」
「ん? ああ、うん。だってボタン暖かいんだもん。あたし冷え性だし」
二人とも俺の存在に気づいてない? 藤林は俺のことが見えてないのかもしれない。今のうちに布団の中に隠れるか。
そう思いスグに布団に潜ろうとする。
「ほらボタンも起きなさい。ご主人様よりも惰眠を貪る気?」
その杏の声が聞こえたとたん、俺の頭が掴まれ宙吊りにされる。
「ぷ、ぷひ」
俺を杏が片手で持ち上げてる?そんなバカな。こいつは化け物か?
うおおおお、離せええええ!
「ぷひ、ぷひいいいいいいいいい!」
あれ? 俺今『離せええええええええ!』って言ったつもりなんだが。俺の耳には『ぷひいい』とかしか聞こえない。聞こえてくるはずの俺の声が聞こえてこない。
ここでやっと気づく。自分の今置かれている状況の異常さに。目の前には女の子の部屋ならではの全身が映る鏡。俺の部屋どころか家中探してもどこにもこんな鏡なんて置いていない。そして、そこに映っているのは杏とボタンのみ。俺の、岡崎朋也の姿は何処にも見当たらない。試しに右手を挙げてみる。
「ぷひ」
うむ。ボタンの右手が上がったぞ。
次は拍手してみよう。
「ぷひぷひぷひぷひ」
うむ。手が届かない。
そんでもって鏡に映るボタンが両手をバタつかせている。
…………。
「ぷ、ぷひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!」
「きゃっ!」
うぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!!!!
そ、そんな
「うるさい!」
「ぷひ!」
はてさて、ボタンになってしまった朋也。
彼はこの後どうなってしまうのか?
以下、次回!
・あとがき
ぶっちゃけ前キモ過ぎてボツにした『ボタンの日々』の焼き増し。なんも考えずにただなんとなく書き綴ったらこうなったって感じ。